セキュアな保管庫のメリットとユースケース 

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米国の個人情報窃盗防止研究センター(Identity Theft Resource Center)の調査によれば、データ漏えいの件数が2023年に過去最高を記録する見込みです。増大するサイバー攻撃への対策の強化は、多くの企業にとっての喫緊の課題であり、そこで役立つのがセキュアな保管庫です。 

重要なアセットの保護を念頭に設計された保管スペースであるセキュアな保管庫は、脅威の排除を支援するための保護層を提供します。 

 

セキュリティ保管庫の定義 

セキュリティ保管庫は、重要なアセット、守秘性の高い情報、重要な文書の保管と保護を目的とする、高度に要塞化・管理された物理的またはデジタルなスペースです。&

デジタル保管庫の定義

 

セキュリティ保管庫の仕組み 

セキュリティ保管庫の具体的な仕組みは、タイプ(物理的/デジタル)と目的によって異なります。文書用のオンライン保管庫の場合は、保護プロセスには、アクセス制御、複数レベルの権限設定、データの暗号化などのステップが含まれます。 

 

物理的保管庫

デジタル保管庫

物理的な保管庫へのアクセスは、権限を有する人物に限定される。通常では、キーカード、生体認証、PINコードなどの手段で制御される。

デジタル保管庫へのアクセスは、パスワード、二要素認証、暗号化キーなどの強力な認証手段によって制御される。

重要なアセットへの不正アクセスを避けるため、強化ドア、アラーム、監視システムなどのセキュリティ機能が装備されている。

データは保存時・転送時に暗号化される。不正アクセスが発生しても、復号化キーがなければデータの解読はできない。

耐火素材や環境制御システムを採用し、自然災害による損害から中身を保護する。

高度な冗長性とバックアップ戦略により、ハードウェアの故障その他の不測の事態が発生した場合でも、データの損失を防止する。

 

デジタル保管庫が企業にもたらす主なメリット 

データ保管庫の最大のメリットは、高度なセキュリティと制御性を備えた環境を提供し、不正アクセス、窃盗、破損、改ざん、その他のリスクから重要なアセットを保護する点にあります。主なメリットを以下に示します。 

 

1. 一元管理

守秘性の高いデータをセキュアな保管庫で一元管理することで、アクセス制御の強化、監視プロセスの合理化、更新作業の簡素化を可能にします。一元化されたアプローチにより、ユーザーによるファイルの検索に要する時間が短縮され、コンテンツ管理が効率的になります。許可されたユーザーがセキュアな環境で守秘性の高い文書を共有し、共同作業を行えるようにすることで、守秘対象のファイルを電子メールで共有するような高リスクな慣行も不要になります。 

 

2. 細粒度の制御と権限設定

文書ファイルをクラウドに移行する企業が増える状況下で、データセキュリティはこれまで以上に重要になっています。しかし、平均的な企業では、SaaSデータの10%が、全従業員によりアクセス可能な状態になっています。アクセス権限の適切な管理を怠ると、データ漏えいのリスクが高まり、大きな損失につながるおそれが生じます。 

守秘情報を保護し、不正アクセスに起因するさまざまなリスクを軽減するには、堅牢なアクセス制御と認証のメカニズムが必要です。Web保管庫は、これらの課題を解決し、文書のアクセス権限を細かい粒度で制御可能にしています。以下に例を示します。 

  • 役割ベースのアクセス制御:ユーザーの役割(ロール)に応じた権限の付与によるアクセス制御。例えば、文書の閲覧はできても編集ができないなどの設定を可能にします。 
  • 最小権限アクセス:特定のタスクや業務に必要な最小限のアクセス権限をユーザーに付与する仕組み。偶発的なデータ漏えいや誤用のリスクを最小限に抑えます。 
  • 多要素認証(MFA)複数の方法での認証を義務付けてセキュリティを強化する仕組み(例:パスワードとデジタルトークン)。 
  • シングルサインオン(SSO:単一のログイン認証情報で複数のアプリケーションやシステムへのアクセスを可能にする仕組み。ユーザーが覚えなければならないパスワードの数を減らし、パスワードの漏えいなどの潜在的なリスクを低減してセキュリティを強化します。 

 

3. データの守秘性と完全性

デジタル保管庫は、保存時・転送時の暗号化により、保存または共有されたデータを確実に保護し、不正アクセスやデータの改ざんのリスクを最小限に抑えます。 

データの守秘性と完全性の維持は、企業における次のような目的の達成において極めて重要です。 

データ侵害は、企業のレピュテーション、業務のレジリエンス、収益にマイナスの影響を及ぼします。IBMの調査によれば、データ侵害の平均コストは2023年に過去最高に達しました。データ侵害のコストには、一般的には、検知とエスカレーション、ビジネス機会の損失、侵害後の対応・通知などのコストが含まれます。また、IBMの調査では、回答者の半数以上(57%)が、データ侵害後に価格の引き上げを行い、コストを顧客に転嫁したと回答しています。 

 

4. 規制へのコンプライアンスと監査

文書の保管庫は、GDPRHIPAAなどの厳格な規制要件を満たすべく、データ保護のガイドラインを定めています。保管庫は、守秘情報を保護するだけでなく、監査時に証拠として機能するアクティビティログ(アクセス試行、実行されたアクション、変更内容など)を提供します。 

Ponemon InstituteとGlobalscapeのレポートでは、コンプライアンス違反に起因するコストはコンプライアンスのためのコストの2.71倍と報告されています。法的基準のコンプライアンスを確実にし、包括的な監査証跡を提供することで、セキュアな保管庫は、コンプライアンス違反に起因する潜在的な法的・財務的責任のリスクを軽減します。 

 

5. サイバー攻撃のリスクを軽減

組織における守秘性の高いデータ、戦略的計画、財務記録、知的財産を含む文書の生成・保存・共有量の増大に伴い、サイバー攻撃(特にランサムウェア)の標的となるリスクが高まります。 

このようなリスクを軽減するための効果的な方法として、プロアクティブなサイバーセキュリティ戦略の導入が挙げられます。実際に、59%の組織がサイバーセキュリティ体制の見直しを通じて、ニーズの変化への対応と脅威の最小化を図っています。保管庫は、セキュアなストレージを提供し、攻撃者によるデータへのアクセスと侵害を困難にすることで、プロアクティブなリスク軽減を可能にします。 

データセキュリティは万全ですか?Boxでコンテンツをサイバー脅威から保護する方法をeBookで解説しています。是非ご一読ください。 

 

エンタープライズ保管庫の主なユースケース 

エンタープライズ保管庫は、脅威の拡大に対する新たな防御層となります。このセクションでは、エンタープライズ保管庫が担う役割について解説します。 

 

企業秘密など守秘性の高いデータの保護 

セキュアなフォルダである保管庫は、データ漏えいや産業スパイ行為に対し、侵入がほぼ不可能なバリアとして機能します。保管庫は、企業秘密、知的財産など守秘性の高いデータを不正アクセスから保護する役割を担っています。 

エンタープライズ保管庫は、重要な情報の守秘性、完全性、アクセス制御性の確保と維持をサポートします。データ保管システムで保護すべき文書の例を以下に示します。 

  • 契約書・事業計画書 
  • コンプライアンス文書 
  • 財務記録 
  • 顧客情報 
  • 従業員データ 
  • 知的財産 

デジタル保管庫に保管される文書 

 

パスワードの保存と管理 

ログイン情報を保存・管理する堅牢なリポジトリとして、パスワードマネージャーによってオンラインの保管庫が使用されるケースがよくあります。オンライン保管庫は、単一の暗号化されたハブに全てのパスワードを保存する利便性を提供し、複数の認証情報を記憶する必要性を排除します。 

 

財務情報をセキュアに保護 

銀行などの金融機関は、セキュアな保管庫を活用して顧客データへの脅威に対する防御を強化しています。セキュアな保管庫は、詐欺行為や不正取引の防止に役立っています。 

モルガン・スタンレーのデジタル保管庫は、その一例です。暗号化されたスケーラブルなクラウドストレージで、顧客は、遺言書、証書、遺産計画、財務諸表、税務申告書などの文書をセキュアに保管し、金融アドバイザーと直接共有することができます。このセキュアな保管庫ソリューションは、Boxを基盤として構築されており、セキュリティを強化するだけでなく、効率性とコラボレーションの促進にも貢献しています。 

 

守秘性の高いデータをBoxで確実に保護 

Boxは、守秘性の高いデータをセキュアに保護する安心感を提供します。データの保存、共有、保護を単一のプラットフォームでサポートするBoxのコンテンツクラウドは、セキュリティを犠牲にすることなく、効率的なワークフローと高度なコラボレーションを可能にします。 

エンタープライズグレードのセキュリティとコンプライアンスがプラットフォームの中核として実装されており、財務、法務、評判に関するリスクを軽減します。 

Boxのゼロトラストセキュリティには、SSOおよびMFAのサポート、ユーザーフレンドリーな権限制御、保存時・転送時のAES 256ビット暗号化などの機能が含まれています。Boxのセキュアなストレージは、このほかにも次のような機能を提供しています。 

  • Box KeySafeお客さまによる暗号キーの完全制御 
  • Box Governance文書保持スケジュールをプロアクティブに管理 
  • Box Shieldマルウェアの検知によりデータ漏えいを防止 

Boxは、フォーチュン500企業の67%に信頼され、利用されています。エンタープライズ文書のためのセキュアな保管庫として、Boxのコンテンツクラウドを是非ご検討ください。ご相談・お問い合わせをお待ちしています。 

 

**Boxは、高度なプライバシー、セキュリティ、コンプライアンスを備えた製品とサービスの提供に尽力しています。ただし、このブログ記事で提供される情報は、法的助言の提供を意図したものではありません。適用される法律に対するコンプライアンスを検証する際には、お客さまが自らデューデリジェンスを実施することを推奨します。 

 

セキュアなコンテンツ管理は Boxで